2026-06-21

補助金の賃上げ要件【2026年版】各補助金の条件・未達成時の返還リスクを比較

2026年度の主要補助金はほぼすべてに「賃上げ要件」が設定されており、要件を満たせない場合は補助金の採択後でも返還を求められるリスクがあります。 申請前に必ず要件を把握し、達成可能かどうかを確認しましょう。

「補助金を受けたいけど、賃上げ要件がよくわからない」「未達成になったら返還しなければいけないの?」——そんな疑問を解決するために、本記事ではものづくり補助金・デジタル化AI導入補助金・省力化補助金・持続化補助金それぞれの賃上げ要件を比較・解説します。


2026年の補助金に賃上げ要件が導入された背景

2026年度(令和8年度)の補助金改革では、物価上昇を上回る賃上げの実現が政策の中心テーマになっています。政府の「デフレ完全脱却」方針のもと、補助金の受給企業にも賃上げへのコミットメントが求められるようになりました。

ℹ️なぜ賃上げ要件が必要なのか

補助金は税金を原資とする公的支援です。2026年度から「補助金を受け取りながら従業員の賃金を据え置く」ことは認められなくなっています。申請前に人件費計画を必ず立てておきましょう。

ポイントをひと言でいえば、**「賃上げ要件はどの補助金でも必須化されており、未達成は返還リスクを伴う」**ということです。


各補助金の賃上げ要件一覧

補助金基本賃上げ要件未達成時の取扱い
ものづくり補助金(第23次)年平均3.5%以上返還の可能性あり
デジタル化・AI導入補助金年平均3%以上(2回目以降)返還の可能性あり
省力化補助金(一般型・第7回)事業場内最低賃金の引上げ事業化報告で確認
持続化補助金(第20回)任意(特例で補助額UP)返還なし(任意のため)

ものづくり補助金の賃上げ要件【第23次公募・2026年版】

ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)では、従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上にすることが基本要件として設定されています。

基本要件(必須)

  • 対象期間: 補助事業完了年度の翌年度から5年間
  • 目標値: 従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率 3.5%以上
  • 報告義務: 毎年度、事業化状況・賃上げ達成状況を報告

加算要件(より高い補助額を目指す場合)

以下の両方を達成した場合、補助額の上乗せが受けられますが、いずれか一方でも未達成の場合は補助金の返還義務が発生します。

  1. 従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率 +6.0%以上増加
  2. 事業所内最低賃金が事業実施都道府県の最低賃金 +50円以上

⚠️返還リスクに注意

加算要件を選択した場合、5年間にわたって2つの条件を両方維持する必要があります。業績悪化時でも従業員の給与を維持できるか、申請前に十分検討してください。

最低賃金引上げ特例

2024年10月〜2025年9月の間に、最低賃金以上〜2025年度改定後最低賃金未満の賃金で雇用している従業員が全従業員の30%以上となる月が3ヶ月以上ある場合、補助上限が引き上げられる「最低賃金引上げ特例」が適用されます。


デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件【2026年版】

デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)では、申請回数や申請金額によって賃上げ要件が異なります

2回目以降の申請(必須)

過去にIT導入補助金またはデジタル化・AI導入補助金の交付を受けた事業者が再度申請する場合は、賃上げ要件が必須です。

  • 1人あたり給与支給総額の年平均成長率: 物価安定の目標(2%)+1% = 年3%以上

150万円以上の申請(必須)

交付申請額が150万円以上となる場合は、以下の2点が必須条件です。

  1. 事業場内最低賃金: 地域別最低賃金 +30円以上の水準にすること
  2. 従業員への表明: 交付申請時点で、賃金引上げ計画を従業員に書面等で表明していること

ℹ️初めての申請・150万円未満の場合

初めての申請かつ申請額が150万円未満の場合は、賃上げ要件は必須ではありません。ただし、賃上げを宣言すると加点対象になります。


省力化補助金(一般型)の賃上げ要件【第7回公募】

省力化補助金(中小企業省力化投資補助金)では、採択後の事業化報告において事業場内最低賃金の引上げが求められます。

要件の概要

  • 補助事業完了後の一定期間内に、事業場内最低賃金を地域別最低賃金以上に引き上げることが条件
  • 申請時に賃上げ計画を宣言し、事業化報告時に達成状況を提出

ℹ️第7回公募スケジュール

省力化補助金(一般型)第7回の申請受付は2026年7月上旬(予定)です。GビズIDプライムの取得に最大3週間かかるため、今すぐ手続きを始めましょう。


持続化補助金の賃上げ要件【第20回公募・2026年版】

小規模事業者持続化補助金では、賃上げ要件は**任意(特例)**として設定されており、達成すると補助上限額がアップします。

区分補助上限額
通常枠(賃上げなし)50万円(補助率2/3)
賃金引上げ特例200万円(補助率2/3)
インボイス特例+50万円 上乗せ
両方適用250万円

賃金引上げ特例の条件

事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上に引き上げること。

持続化補助金は賃上げが必須ではないため返還リスクはありませんが、特例を利用すると補助上限が最大5倍に増加するため、積極的に活用することをおすすめします。


賃上げ要件を達成するための実践的なコツ

1. 事前にシミュレーションを行う

申請前に、過去3年分の従業員の給与データを集め、年平均成長率を計算しておきましょう。「3.5%」の実現可能性を数値で確認することが最重要です。

2. 段階的な賃上げ計画を立てる

1年目に一気に賃上げするのではなく、毎年コンスタントに引き上げる計画を立てると達成しやすくなります。

年次年間賃上げ率給与(例:月30万円スタート)
1年目+3.5%約31万円
2年目+3.5%約32万円
3年目+3.5%約33.1万円
4年目+3.5%約34.2万円
5年目+3.5%約35.4万円

3. 最低賃金改定のタイミングを把握する

毎年10月に最低賃金が改定されます。改定後の最低賃金を確認してから、+30円・+50円の目標値を設定しましょう。

4. 採択後も継続管理が必要

補助金を受け取っても、毎年度の「事業化状況報告」で賃上げ達成状況を報告する義務があります。台帳・給与台帳を整備し、いつでも証明できる体制を整えておきましょう。

⚠️よくある失敗パターン

  • パート・アルバイトを除いた正社員のみで計算してしまう(全従業員が対象)
  • 賃上げを採択年度だけ達成し、翌年以降を忘れる(5年間継続が必要)
  • 最低賃金改定後の水準を把握せず、気づいたら下回っていた

まとめ:補助金の賃上げ要件チェックリスト

申請前に以下を確認しておきましょう。

  • 過去3年の1人あたり給与支給総額を計算した
  • 今後5年間の賃上げ計画(年3.5%or3%)が実現可能か検証した
  • 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上(または+50円以上)を達成できるか確認した
  • 従業員に賃金引上げ計画を表明する書面を準備した(デジタルAI補助金の場合)
  • 申請後の毎年度報告に対応できる給与管理体制を整えた

賃上げ要件は補助金の受給条件であるとともに、採択審査の加点要素にもなっています。無理のない範囲で積極的にコミットすることが、採択率アップにもつながります。

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