補助金の賃上げ要件とは?計算方法・計画書の書き方【2026年度版】
「補助金に申請しようとしたら賃上げ要件があった」「どれくらい賃上げすれば良いのか計算方法がわからない」——2026年度の主要補助金では多くの制度で賃上げ要件が設定されています。
この記事では、主要補助金の賃上げ要件一覧・給与総額の正しい計算方法・事業計画書への書き方を解説します。
ℹ️この記事のポイント
- 主要補助金の賃上げ要件一覧
- 給与総額・労働生産性の計算方法
- 事業計画書に賃上げ計画を書く際のポイント
- 賃上げ要件を満たせない場合の対処法
主要補助金の賃上げ要件一覧(2026年度版)
| 補助金 | 賃上げ要件(最低ライン) | 達成で得られる加点・特典 |
|---|---|---|
| 省力化補助金 | 事業計画期間(3年)中に年率平均3%以上引き上げ | 賃上げ上乗せで補助上限額UP |
| 新事業進出・ものづくり補助金 | 事業計画期間(3〜5年)内に年率平均3%以上引き上げ | 大幅賃上げ特例で上限額大幅UP |
| デジタル化AI導入補助金 | 直近1年間の従業員への給与支給額を年率1.5%以上増加 | 加点対象(採択率向上) |
| 小規模事業者持続化補助金 | 申請時点で事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上に | 特定加点「賃金引き上げ枠」 |
| 事業承継・M&A補助金 | 補助事業期間中に賃金引き上げを表明 | 要件充足で加点 |
※上記は概要です。最新の要件は各補助金の公募要領を必ず確認してください。
⚠️要件は公募回次によって変更される場合があります
賃上げ要件の数値・期間は公募回次ごとに変更される場合があります。必ず申請する回の公募要領で最新の要件を確認してください。
給与総額の正しい計算方法
給与総額とは何か?
補助金の賃上げ要件でいう「給与総額」とは、役員報酬を除く従業員全員への給与・賞与・手当の合計額です。
含まれるもの(一般的な例):
- 基本給
- 各種手当(通勤手当・役職手当・住宅手当等)
- 賞与・一時金
含まれないもの(一般的な例):
- 代表者・役員報酬
- 福利厚生費(社会保険料の会社負担分等)
- 業務委託費・外注費
給与総額の計算手順
- 直近事業年度の損益計算書から「給与・賞与」の合計を確認する
- 役員報酬が含まれている場合は控除する
- 算出した給与総額に必要な増加率を掛け、目標給与総額を計算する
計算例:
- 現状の給与総額(年間):3,000万円
- 省力化補助金の要件:年率3%増
- 1年後目標:3,000万円 × 1.03 = 3,090万円
- 3年後目標:3,000万円 × 1.03³ ≒ 3,278万円
労働生産性の計算方法
省力化補助金やものづくり補助金では、労働生産性の向上目標も求められます。
労働生産性 = 付加価値額 ÷ 従業員数
付加価値額の計算方法(中小企業庁方式):
付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費
計算例:
- 営業利益:500万円
- 人件費(給与総額):3,000万円
- 減価償却費:200万円
- 付加価値額:3,700万円
- 従業員数:10人
- 現状の労働生産性:370万円/人
- 3年後の目標:370万円 × 1.25 = 462.5万円/人(25%向上)
事業計画書に賃上げ計画を書く際のポイント
ポイント1:現状の給与水準を数値で示す
「賃上げを予定しています」という抽象的な記述ではなく、現状の数値を起点に将来の数値を示すことが重要です。
| 項目 | 現状(〇年度) | 1年後 | 3年後 |
|---|---|---|---|
| 給与総額(万円) | 3,000 | 3,090(+3%) | 3,278(+3%/年) |
| 最低賃金(時給) | 1,050円 | 1,100円 | 1,150円 |
| 平均給与(万円/年) | 300 | 309 | 328 |
ポイント2:賃上げの財源を示す
「補助金事業の成果として売上・利益が向上するため、その一部を賃上げに充てる」という論理の流れを明確にしましょう。
- 売上目標:3年後に現状比○%増(○○万円)
- 利益率の向上:省力化・効率化により原価率○%改善
- 賃上げ財源:上記の利益向上分から年間○万円を人件費増に充当
ポイント3:根拠のない高い賃上げ目標は逆効果
採択されたいからといって過度に高い賃上げ目標を設定すると:
- 審査官に「実現可能性が低い」と判断される
- 採択後、実際に要件を満たせなかった場合に補助金の返還を求められることがある
現在の財務状況から実現可能な範囲の賃上げ目標を設定することが重要です。
賃上げ要件を満たせない場合の対処法
対処法1:賃上げ要件なし・低ハードルの補助金を選ぶ
補助金によって賃上げ要件の厳しさに差があります。現時点で大幅な賃上げが難しい場合は、賃上げ要件のより低い補助金から検討しましょう。
対処法2:中期的な採用計画・人員増を計画に組み込む
「給与単価は現状維持だが、採用増により給与総額が増える」という形でも要件を満たせる場合があります。採用計画がある場合は積極的に示しましょう。
対処法3:申請タイミングを調整する
決算期を経て財務状況が改善した後に申請するという選択肢もあります。補助金によっては年複数回の公募があります。
賃上げ特例を活用して補助上限額を上げる
省力化補助金・新事業進出補助金では、最低要件を超える賃上げを表明すると補助上限額が大幅に引き上げられる「賃上げ特例」があります。
| 補助金 | 基本上限 | 賃上げ特例時の上限 |
|---|---|---|
| 省力化補助金(大規模型) | 8,000万円 | 1億円 |
| 新事業進出枠 | 7,000万円 | 9,000万円 |
大規模投資を検討している場合は、賃上げ特例の活用を検討する価値があります。
よくある質問(FAQ)
Q. パートタイム・アルバイトの給与も「給与総額」に含まれますか?
A. 含まれます。正社員・パートタイム・アルバイトを問わず、全ての従業員(役員を除く)への給与・賞与が対象です。
Q. 採択後に要件を満たせなくなった場合はどうなりますか?
A. 補助金の全額または一部の返還を求められる場合があります。要件を満たせないことが明らかになった場合は、速やかに補助金事務局に相談してください。
Q. 賃上げ計画書の様式はありますか?
A. 補助金によって様式が異なります。各補助金の公募要領・申請様式に専用の様式が含まれています。様式がない場合は表形式で現状と目標値を整理して記載します。
まとめ
- 主要補助金の賃上げ要件は「給与総額の年率3%以上引き上げ」が多数
- 給与総額は役員報酬を除く全従業員への給与・賞与の合計
- 事業計画書には現状値→目標値を年次テーブルで数値明示する
- 根拠のない過大な賃上げ目標は逆効果。財務状況から実現可能な数値を設定する
- 賃上げ特例を活用すると補助上限額を大幅に増やせるケースがある
→ 主要補助金の申請方法は省力化補助金の申請方法やものづくり補助金の申請方法をご参照ください。
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